クビアカツヤカミキリの被害地域と分布全国の最新状況

クビアカツヤカミキリの見つけ方

狙われるのは、サクラ・ウメ・モモ・スモモ・アンズ・プルーン。日本の庭で気をつけるのは、この6つです。樹皮が粗い古い木ほど、産卵の場所に選ばれます。

まず覚える5つ

  1. クビアカツヤカミキリの成虫の鉛筆画。桜の幹に止まる、首(前胸)だけが赤いカミキリムシ首が赤い、つやのある黒い虫体長2.5〜4cm。6月から8月に幹の上で見られる
  2. クビアカツヤカミキリが入る木の鉛筆画。サクラとウメの花の枝、モモの実の枝サクラ・ウメ・モモに入るスモモ・アンズ・プルーンも。古くて大きな木ほど入られる
  3. クビアカツヤカミキリのフラスを見つける鉛筆画。桜の根元にしゃがみ、たまった木くずを指さす人根元に、うどん状の木くずフラスと呼ぶ。幼虫は木の中なので、見えるのはこれだけ
  4. クビアカツヤカミキリの脱出孔の鉛筆画。幹にあいた縦長の楕円の穴幹に、縦に長い楕円の穴長いほうが2〜3cm。成虫が出ていった跡
  5. 伐った木の丸太を積んで走る軽トラックの鉛筆画。クビアカツヤカミキリは人が木を運ぶと遠くへ広がる人が木を運ぶと、遠くへ広がる伐った木は、成虫が出る4月ごろまでに砕く・燃やす

絵はこのサイトで描いたもの。中身は環境省の同定マニュアル・森林総合研究所・群馬県・国の防除戦略による。

10月
いまは 被害木の伐採を段取りする季節

10月までは根元のフラスも見る。被害木の伐採は、成虫が出ない秋から冬に。補助のある市町村では、作業の前に申請する

木の中で起きていること

幹の輪切りの模式図。外から外樹皮、内樹皮、形成層、辺材、心材。幼虫の坑道が内樹皮と形成層に沿って横に広がり、1本は材の奥の蛹室へ続いている
幹の輪切り(模式図)。層の太さは実物どおりではありません。このサイトで作った図
  1. 外樹皮 木を守る皮。成虫はこの割れ目に卵を産む
  2. 内樹皮 葉で作った養分を、根へ運ぶ通り道
  3. 形成層 毎年新しい細胞を作って、幹を太らせるところ
  4. 辺材 根で吸った水を、上へ運ぶ通り道
  5. 心材 木を支える芯
  6. 幼虫の坑道 内樹皮と形成層に沿って、横へ食べ広げる。長さ50〜60cmになることもある
  7. 蛹室 育った幼虫が材の奥に作る部屋。出口を先にかじり、薄い皮だけ残しておく

幼虫が食べるのは、樹皮のすぐ下の、養分と水の通り道です。食べられたところから先へは養分が届かなくなり、その先の枝から枯れていきます。一本に何匹も入ると、幹のまわりが広く食べられて水も上がらなくなり、木全体が枯れます。1年から数年で枯れることがあります。

クビアカツヤカミキリの被害の流れの図。1 樹皮の割れ目に卵、2 幼虫が樹皮のすぐ下を食べる、3 養分と水の通り道が断たれる、4 その先の枝が枯れる、5 何匹も入ると木全体が枯れる
クビアカツヤカミキリの被害の流れ。このサイトで作った図

古くて大きな木ほど入られます。中国の河北省のモモ園では、12年生の木の88.9%が被害を受け、6〜7年生は6.5%でした。名所の古い桜並木が危ないのは、このためです。

広がると困ること

見つけるのが早いほど、守れる木が多くなります。国の防除戦略は、出たばかりの地域なら、すぐに徹底して防除すれば短い期間で地域から根絶できる可能性がある、と書いています。

1年の見回り

卵から成虫まで、基本は2年です。成虫が出るのは初夏で、出たその日に交尾し、2〜9日後から卵を産みます。卵は10日から2週間で孵り、幼虫は4月から10月に食べ、冬は休みます。2年目の秋に蛹室を作り、3年目の初夏に成虫になって出てきます。成虫が外で生きるのは2週間から1か月ほどで(国立環境研究所・埼玉県)、成虫のまま冬は越しません。

クビアカツヤカミキリの1年と見回りの12か月の図。成虫が外に出て卵を産むのは6月から8月、幼虫が木の中で食べるのは4月から10月、休むのは11月から3月。根元のフラスを見るのは3月から10月、成虫を探して捕殺するのは6月から8月、被害木の伐採は10月から3月、伐った木は4月ごろまでに砕くか燃やす
クビアカツヤカミキリの1年と、見回りの12か月。このサイトで作った図

1 根元のフラス

いちばん確かな手がかりはフラスです。幼虫が木の中で出す、木くずと糞の混ざったもの。うどん状、あるいは挽き肉状に押し出されてきます。幼虫は木の中に基本2年いて、外からは見えません。見えるのはフラスだけです。

フラスは根元にたまるだけでなく、葉にからみついていたり、幹が二股に分かれるところにたまっていたりします。上から落ちてくるためです。たまっている場所の上の幹や枝に、出し口があります。はじめは地面に近いところから出て、加害が進むと、幹の上のほうからも出ます。フラスの太さは、若い幼虫で2mmほど、育つと8mmほどになります。

クビアカツヤカミキリのフラス。赤茶色の挽き肉状の木くずが、木の根元に厚く積もっている
根元に積もったフラス。挽き肉が押し出されたような形が絡み合う。埼玉県・2025年7月。写真 renshuchu / iNaturalist(CC0)。縮小して掲載
サクラの樹皮の下、赤茶色のフラスの中にいる白い幼虫
サクラの幹の中にいた幼虫。まわりの赤茶色がフラス。東京都福生市。写真 Shigeaki Tamura, Etsuko Shoda-Kagaya / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)。元は論文 Insects 13(2):217 の図。縮小して掲載

ほかの虫のフラスと分ける

フラスを出す虫は、クビアカだけではありません。見分けの手がかりは3つです。

在来のカミキリムシや他の昆虫にもフラスを排出する種がいるが、バラ科樹木から大量のフラスが確認された場合はクビアカツヤカミキリを警戒する必要がある
環境省 特定外来生物同定マニュアル 昆虫類
木くずを見つけたときの判断の流れ。うどん状ならクビアカを疑い、都道府県か市町村の窓口に連絡する

2 成虫

成虫が木から出てくるのは6月初旬から7月下旬。春の進みが早い年は5月末から出ます(森林総合研究所)。農林水産省の資料は、幅を持たせて6月から8月と書いています。

成虫を見たときに確かめる4点。前胸が赤い、前胸の側面にとげ状の隆起が1対、光沢のある青みがかった黒、雄の触角は体長をはるかに超える
クビアカツヤカミキリの成虫。黒い体に赤い前胸、体長より長い触角
成虫。触角が体長より長いので雄。写真 罗捷 / Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)。縮小して掲載

似た虫

国内に、同じ仲間の在来種が1種います。ジャコウカミキリ。前胸が赤く体の形も似ていますが、全体が青から緑青色で、黒みがかりません。分布は北海道だけです。

成虫が出た穴(脱出孔)は縦長の楕円で、長いほうが2〜3cmほど。脱出孔があるということは、少なくとも数年前から入っていたということです。

3 見つけたら

  1. その場で捕殺する(生きたまま運ぶ・飼う・保管するのは外来生物法で禁止。成虫も幼虫も卵も対象)
  2. 写真を撮る(成虫、フラス、木の全体、場所)
  3. 市町村の環境担当課か、都道府県の窓口へ知らせる。窓口は 都道府県のページ に載せています
国の通報フォームと地図(試行中)
環境省が、全国の確認・被害の情報を集めて地図で公開する仕組み(仮称 クビアカ発見・通報ネット)を試しています。期間は2026年10月13日から11月30日まで。届いた情報は誤りを除いてから地図に載り、2027年4月の本格運用を目指しています。
情報収集フォーム 公開の地図 (環境省の報道発表)
空き家や、持ち主の分からない土地の木
自分の木でなくても、被害に気づいたら市町村か都道府県の窓口へ知らせてください。外来生物法には、自治体の職員が必要な手続きをしたうえで他人の土地に入り、調べたり、被害木を伐採したりできる決まりがあります(第17条の3・第17条の5)。国の調べでは、この決まりはまだほとんど知られておらず、使われた例も確かめられていません。国はこれから手引きを作るとしています。
(第3回クビアカツヤカミキリ対策本部 資料(2026年10月15日))

なぜ捕殺するのか

クビアカがサクラを食べるのは、この虫の暮らしそのもので、虫に悪意はありません。日本に運んできたのは人です。だから捕殺の重さは、虫ではなく、捕殺する人の側にあります。

日本には、虫塚や草木供養塔のように、奪った命を覚えておく習わしがあります。捕殺は、木を守るために人が引き受ける仕事です。

捕殺が効くのは、出てきてすぐ

成虫は、木から出たその日に交尾でき、2〜9日後から卵を産みはじめます(東京都)。1匹のメスは数百、多いと1,000個を超えて産みます。イタリアの室内の実験では、メスは卵のおよそ半分を、出てから最初の1週間で産みました(Russo ほか 2020)。

成虫が出てからの日数の図。出たその日から交尾でき、2〜9日後から卵を産みはじめる。週に1回の見回りだと最初の見回りは7日目、1〜2日ごとの見回りだと2日目までに見回れる
見回りの印は、木から出た日を0日目としたときに見回りが来る日の例。東京都 クビアカツヤカミキリ防除の手引(2023年)をもとに、このサイトで作った図

東京都の手引は、数百の卵を持ったメスを1匹でも捕殺できれば、それだけ広がりを抑えられる、と書いています。一方で森林総合研究所などの手引は、卵をほぼ産み終えたメスを捕まえても、高い効果は望めない、と書いています。

二つは同じことを言っています。効くのは、木から出てきてすぐに捕まえたときです。網を巻いた木は、6〜7月に1〜2日ごとに見回ります。

見つけた時点で遅い、ということはありません。フラスに気づいた木は、たいてい次の成虫がまだ中にいます。森林総合研究所などの手引は、侵入して間もない地域では、次の夏までに被害木を地域から無くすのが一番、としています。

4 庭の木を守る

鉛筆のスケッチ。庭の桜の幹を胸の高さから地面までネットで包み、上だけを紐で縛り、裾は根元のまわりの地面に広げて石で押さえている
幹をネットで包み、上を縛る。裾は地面に広げて押さえ、根元から出る成虫も逃がさない。群馬県の写真を見て、このサイトで描いた絵

庭のサクラやウメを守るのは、木の持ち主が基本です。国や市町村が、情報や助言を出しながら一緒に進める形になっています(国の防除戦略)。

木を扱う人へ

詳しく学びたい人は 講座・講習会 へ。出前講座を受けている県もあります。

出典 森林総合研究所・農林水産省の資料、埼玉県環境科学国際センター サクラの外来害虫クビアカツヤカミキリ情報https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/center/kubiaka.html 、環境省 特定外来生物同定マニュアル 昆虫類 https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/manual/6hp_konchurui2.pdf 、国の防除戦略(2026年9月11日)https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/keneki/k_kokunai/kubiaka/attach/pdf/taisaku-18.pdf 、森林総合研究所 クビアカツヤカミキリの生態と探索法 https://www.ffpri.go.jp/pubs/chukiseika/documents/5th-chuukiseika12-3.pdf 、東京都 クビアカツヤカミキリの基礎情報 https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/animals_plants-400100a20191204115758336-files-kiso_joho2023 、東京都 クビアカツヤカミキリ防除の手引(2023年3月)https://www.city.taito.lg.jp/kenchiku/kankyohozen/seikatsukankyo/gairaiseibutsu/kubiakatuyakamikiri.files/kubiakanotebiki.pdf 、森林総合研究所ほか クビアカツヤカミキリの防除法(防除法・地域での総合防除への提言)https://www.ffpri.go.jp/pubs/chukiseika/5th-chuukiseika12.html 、国立環境研究所 侵入生物データベース https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/60560.html 、Russo ほか 2020 Scientific Reports(産卵の日ごとの数・成虫の寿命)https://www.nature.com/articles/s41598-020-63959-9 、EPPO Datasheet https://gd.eppo.int/taxon/AROMBU/datasheet 、Horrocks ほか 2024 Journal of Pest Science(木の年数・モモの寿命・徳島の果樹園)https://link.springer.com/article/10.1007/s10340-024-01767-0 、朝日新聞 行田市の武蔵水路 https://www.asahi.com/articles/ASTB83TNCTB8UTNB006M.html 、朝日新聞 和歌山県のウメ産地(2023年6月30日)https://www.asahi.com/articles/ASR6Y7HXMR6WPXLB006.html 、The New York Declaration on Animal Consciousness(2024)https://sites.google.com/nyu.edu/nydeclaration/declaration 。図5枚はこのサイトで作ったもの。