予測と答え合わせ
クビアカツヤカミキリの拡大が、今の勢いのまま続くとどうなるか。公開されているデータで計算すると、20年後には被害のある地域が今の約6倍になります。
20年後の計算。被害のある10km四方のマスは今の約6倍(194→1,169)
飛び地と木の持ち出しを止められた場合(828マス)。差の341マスが、人が運ぶ分にあたる計算
これは予測です。この速さが続いたらどうなるか、という見取り図で、決まった未来ではありません。そのうえで、何を根拠にした数字なのか、どこまで当たるのかを順に書きます。図はボタンを押すと動きます。
庭での見つけ方は見つけ方に、都道府県ごとの今の区分は都道府県の一覧にまとめています。
ここまでの広がり
国内で初めて被害が確認されたのは2012年、愛知県です。国の防除戦略によると、2026年9月の時点で被害は22都府県、300を超える市町村に広がっています。2026年に入ってからだけで、山梨県、福井県、長野県、岐阜県、岡山県、香川県の6県で新しく見つかりました。
一度入った町で、被害がどうなっていくかも数字があります。群馬県は市町村ごとの被害本数を毎年公開しています。
群馬県全体の被害木は、平成29年度の682本から、令和7年度は13,927本になりました。8年で約20倍です。前の年度からだけでも3,419本増えています。
県内で最初に見つかった館林市では、令和元年度から7年続けて、被害木が毎年1,200本を超えています。駆除を続けていても、入った町から被害木がなくなってはいません。
幼虫は生きている木の中を食べて育ち、被害が進むと木は弱って枯れます。枯れた木は枝が落ちたり、倒れたりするおそれがあります。被害に遭うのは、サクラ、ウメ、モモ、スモモ、アンズなどです。
計算のしかた
日本の地図を約10km四方のマスに区切りました。全部で3,868マスあり、今被害があるのは194マスです。
今被害があるとしたのは、国の防除戦略にある被害市町村309、GBIFとiNaturalistの観察記録のうち位置の精度が5km以内の122件、三重県の5kmメッシュ地図の印です。
1年ごとに、被害のあるマスから次の3つの広がり方で、まわりのマスへ広げていきます。
- 歩いて隣のマスへ。国の防除戦略には、新たな被害地域の多くは既被害地から3km以内で発生している、とあります。
- 3〜40km先へ飛ぶ。同じ戦略に、40km程度飛び地的に被害が発生する事例もある、とあります。回数は、戦略の一覧にある飛び地の市町村9から決めました。
- 40〜200km先へ運ばれる。被害木を動かすなど、人の手で遠くへ移る場合を考えたものです。回数は、新しい県で見つかったペースから決めました。

寒さについては、今いちばん寒い被害地より冬が寒いマスには入らない、としました。今いちばん寒い被害地は群馬県片品村のマスで、12〜2月の平均気温は-4.62℃です。
どこへ飛ぶかは年ごとに変わるので、同じ計算を200回くり返しました。地図の色は、200回のうち何回そのマスに被害が出たかの割合です。
このままだと20年後
今の勢いが続くと、被害のあるマスは10年後に657、20年後に1,169になります。20年後は今の約6倍です。
200回のうち半分以上で被害が出る地域を見ると、10年後には静岡県と福島県に、20年後にはさらに新潟県、高知県、鳥取県に入ります。被害のある都府県は、20年後に22から32になる計算です。増える10県のうち、上の5県を除いた残りの5県ほどは、遠くへ運ばれる回がたまたま当たった県で、どの県になるかは計算ごとに変わります。
飛び地へ飛ぶことと、遠くへ運ばれることを止められた場合も計算しました。20年後は828マス、都府県は25です。何もしない場合との差は341マスで、20年後の被害の約3割は、飛び地と持ち出しから来ることになります。国の戦略が、飛び地は見つけてすぐ初期防除を徹底すれば短期間で根絶できる可能性があるとして、最優先で対策する地域にしているのは、この部分に当たります。
寒さで入れないマスは、山の上より北日本に多く出ました。山で止まるというより、北で止まる形です。
この計算は当たるのか
予測が当たるかどうかは、過去で試せば分かります。埼玉県は年度ごとに新しく被害が出た市町村の名前を、群馬県は市町村ごとの被害本数を公開しているので、この2県で試しました。
2021年度の時点に立ったつもりで、それまでの広がり方から速さを決め、その先の2022〜2025年度を計算して、実際と比べています。
1年先と2年先は、実際の数が計算の幅の中に入りました。3年先と4年先は、実際のほうが多くなりました。2025年度は、計算が40マス(35〜46)に対して、実際は51マスです。
場所については、計算が新しく被害が出ると言った19マスのうち、13マスで実際に被害が出ました。68%です。同じ地域のマスを無作為に選んだ場合は39%なので、どこに広がるかの見当は、この計算でかなりつきます。
一方で、広がる速さは実際のほうが上でした。1〜2年先ならこの計算で読めますが、その先は少なめに出ます。20年先の数字も、控えめな側の数字として読んでください。
伸びが速くなったのが、虫の広がりが速くなったからなのか、調べる人が増えて見つかるようになったからなのかは、この資料からは分けられません。
答え合わせの台帳
2026年9月28日に、先の予測を日付つきで固定しました。後から書き換えていません。このページは毎朝、次の3つを照らして書き直されます。
- 予測した市町村に、新たな被害の報告が来たか
- 予測していなかった所で見つかったか
- 答えの元になる県の発表が更新されたか
2026年10月18日時点 当たり外れを決める発表は、まだ出ていません
埼玉・群馬 2026年度
被害のある市町村は84から91へ(真ん中の値)。約10km四方のマスでは61(58〜64)。新しく出ると見た市町村は次のとおりです。
- 埼玉県 ふじみ野市 見込み100% まだ報告なし
- 埼玉県 三芳町 見込み100% まだ報告なし
- 埼玉県 和光市 見込み100% まだ報告なし
- 埼玉県 志木市 見込み100% まだ報告なし
- 埼玉県 戸田市 見込み100% まだ報告なし
- 埼玉県 蕨市 見込み100% まだ報告なし
- 群馬県 神流町 見込み54% まだ報告なし
- 群馬県 高山村 見込み39% まだ報告なし
- 群馬県 南牧村 見込み32% まだ報告なし
埼玉の上の6市町(ふじみ野・三芳・和光・志木・戸田・蕨)は、役場がすでに被害のある市と同じマスにあるので、計算では必ず出る扱いになっています。ここが外れたら、マスが粗すぎるという答えです。
三重 2027年〜2029年の9月ごろ
三重県の5kmメッシュ地図で数えたマスは、出発の12から、2027年に16、2028年に21、2029年に26(真ん中の値)。2028年9月ごろまでに新しく出ると見た市町は次のとおりです。
- 四日市市 見込み67% 市内の新しいマス。三重県の地図で確かめる
- 伊賀市 見込み60% 市内の新しいマス。三重県の地図で確かめる
- 津市 見込み59% 市内の新しいマス。三重県の地図で確かめる
- 亀山市 見込み54% まだ報告なし
- 鈴鹿市 見込み50% まだ報告なし
予測していなかった所で見つかった(埼玉・群馬・三重)
- まだありません
答えの元になる発表
- 埼玉県環境科学国際センター 発見大調査(例年6月ごろに年度の結果) まだ更新なし(2026年10月12日から毎朝見ている)
- 群馬県 市町村別の被害状況 まだ更新なし(2026年10月12日から毎朝見ている)
- 三重県 5kmメッシュ地図 まだ更新なし(2026年10月12日から毎朝見ている)
固定した予測は、置いた日の記録とともに作り手の手元に残しています。
外れるほうがいい予測です。実際が小さく済めば、県や市町の対策が効いているということです。
見回りは6月上旬から

森林総合研究所の資料は、成虫は6月初旬(春の早い年は5月末)から出ると書いています。庭のサクラやウメは、6月上旬から幹を見てください。

成虫が出る6月上旬から8月は、幹に止まっている虫を見ます。春から秋は、根元にたまるフラスを見ます。見つけたら、県や市町の窓口へ知らせてください。
この計算に入っていないこと
- サクラ、ウメ、モモがどこにどれだけあるかは入れていません。
- 駆除で被害地が縮む効果も入れていません。
- どこへ飛ぶかは偶然で決めています。飛び地の場所そのものは当てられません。
- 標高はマスの中心の1点です。山のマスでも、被害が出るのは麓の木だと考えるほうが自然です。
出典
- クビアカツヤカミキリ防除戦略・参考資料2 農林水産省・環境省 2026年9月11日 農林水産省
- クビアカツヤカミキリの確認状況(令和8年8月時点) 農林水産省(PDF)
- 特定外来生物クビアカツヤカミキリに注意してください(令和7年度被害状況調査) 群馬県
- クビアカツヤカミキリ情報 埼玉県環境科学国際センター
- 5キロメッシュ地図(令和8年8月10日現在) 三重県(PDF)
- クビアカツヤカミキリ被害対策の手引書 第6版 大阪府立環境農林水産総合研究所 2026年4月
- クビアカツヤカミキリの防除法 森林総合研究所(PDF)
- アメダス平年値 気象庁
- GBIF / iNaturalist
図とスケッチはこのサイトで作ったものです。
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