クビアカツヤカミキリの駆除と防除
見つけたら、その場で捕殺して窓口へ。庭の木は、ネットで包む・登録農薬(薬剤)を使う・被害の重い木は伐採する、の3つで守ります。伐った木は、春のうちに処理します。費用を助ける市町村もあります。
見つけたら 捕殺と通報
- その場で捕殺する(生きたまま運ぶ・飼う・保管するのは外来生物法で禁止。成虫も幼虫も卵も対象)
- 写真を撮る(成虫、フラス、木の全体、場所)
- 市町村の環境担当課か、都道府県の窓口へ知らせる。窓口は 都道府県のページ に載せています
環境省が、全国の確認・被害の情報を集めて地図で公開する仕組み(仮称 クビアカ発見・通報ネット)を試しています。期間は2026年10月13日から11月30日まで。届いた情報は誤りを除いてから地図に載り、2027年4月の本格運用を目指しています。
情報収集フォーム 公開の地図 (環境省の報道発表)
自分の木でなくても、被害に気づいたら市町村か都道府県の窓口へ知らせてください。外来生物法には、自治体の職員が必要な手続きをしたうえで他人の土地に入り、調べたり、被害木を伐採したりできる決まりがあります(第17条の3・第17条の5)。国の調べでは、この決まりはまだほとんど知られておらず、使われた例も確かめられていません。国はこれから手引きを作るとしています。
(第3回クビアカツヤカミキリ対策本部 資料(2026年10月15日))
なぜ捕殺するのか
クビアカがサクラを食べるのは、この虫の暮らしそのもので、虫に悪意はありません。日本に運んできたのは人です。だから捕殺の重さは、虫ではなく、捕殺する人の側にあります。
- 理由があるときだけ サクラやウメを守るため、広がりを止めるため。その目的のためにだけ捕殺します
- 苦しませない 昆虫にも意識的な経験がある現実的な可能性がある、と研究者たちが2024年に宣言しています。分からないなら、苦しませない側に立ち、その場ですばやく確実に
- 間違えない 虫を見分けられるのは人だけです。前胸の赤と、とげ状の隆起を確かめてから(似た虫)
日本には、虫塚や草木供養塔のように、奪った命を覚えておく習わしがあります。捕殺は、木を守るために人が引き受ける仕事です。
成虫の駆除が効くのは、出てきてすぐ
成虫は、木から出たその日に交尾でき、2〜9日後から卵を産みはじめます(東京都)。1匹のメスは数百、多いと1,000個を超えて産みます。イタリアの室内の実験では、メスは卵のおよそ半分を、出てから最初の1週間で産みました(Russo ほか 2020)。

東京都の手引は、数百の卵を持ったメスを1匹でも捕殺できれば、それだけ広がりを抑えられる、と書いています。一方で森林総合研究所などの手引は、卵をほぼ産み終えたメスを捕まえても、高い効果は望めない、と書いています。
二つは同じことを言っています。効くのは、木から出てきてすぐに捕まえたときです。網を巻いた木は、6〜7月に1〜2日ごとに見回ります。
見つけた時点で遅い、ということはありません。フラスに気づいた木は、たいてい次の成虫がまだ中にいます。森林総合研究所などの手引は、侵入して間もない地域では、次の夏までに被害木を地域から無くすのが一番、としています。
庭の木の防除 ネット・薬剤・伐採

庭のサクラやウメを守るのは、木の持ち主が基本です。国や市町村が、情報や助言を出しながら一緒に進める形になっています(国の防除戦略)。
- 見回る 春から秋に、根元と、幹が二股に分かれるところを見る。フラスがいちばん確かな手がかり
- ネットで包む まだ被害のない地域でも、予防としてネットで覆う方法があります。被害のある木を伐らずに残すときは、春から夏のあいだ幹をネットで覆い、出てきた成虫が飛んでいかないようにします。目合い4mmまでの網を、幹から離して巻き(ぴったり沿わせると噛み切って逃げる)、5月末に巻いて8月のお盆のころに外します。6〜7月は1〜2日ごとに見回り、網の中の成虫をすぐ捕殺します。放っておくと網の中で卵を産みます(森林総合研究所・東京都)
- 薬剤で駆除する 幼虫の駆除・幹への注入・散布に使える登録農薬(国に登録され、使える木と使い方が決まった農薬)があります。木の種類ごとに使える薬と回数が決まっているので、ラベルを守ります。幹への注入は、枯れの兆しが出ている木では効きにくくなります(埼玉県環境科学国際センター)。使える薬の名前は、農林水産省の農薬登録情報提供システムの「病害虫で探す」に「クビアカツヤカミキリ」と入れると調べられます。使ってよい木と回数は1つずつ違います
- 伐採する 被害の重い木は、伐倒(木を根元から倒す)と伐根(根株を掘り取る)が基本です。根株や根に残った幼虫からも成虫が出るので、根を掘り取るか、資材で覆うか、モルタルで固めます
- 補助を使う 伐採や薬の費用を助ける市町村があります。業者を呼ぶ前に、まず市町村に相談するのが順番です(補助金の一覧)
伐採した木の処理(木を扱う人へ)
- 伐った材を、現場から現場へ運ばない。処理施設へ直行する
- 伐倒木は、春のうち(国の防除戦略では4月ごろ)までに破砕・焼却・くん蒸(薬のガスで中の幼虫を殺す処理)する(国の防除戦略)
- サクラ属を移植するときは、掘る前にフラス・脱出孔・樹皮の割れ目を確かめる
- 野焼きはできない(廃棄物処理法で原則禁止)
詳しく学びたい人は 講座・講習会 へ。出前講座を受けている県もあります。
見分け方と見回りは 見つけ方、費用の助けは 補助金の一覧、市町村の窓口は 都道府県のページ に。
出典 国の防除戦略(2026年9月11日)https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/keneki/k_kokunai/kubiaka/attach/pdf/taisaku-18.pdf 、第3回クビアカツヤカミキリ対策本部 資料(2026年10月15日)https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/keneki/k_kokunai/kubiaka/attach/pdf/taisaku-24.pdf 、環境省 報道発表 https://www.env.go.jp/press/press_05662.html 、森林総合研究所ほか クビアカツヤカミキリの防除法 https://www.ffpri.go.jp/pubs/chukiseika/5th-chuukiseika12.html 、東京都 クビアカツヤカミキリ防除の手引(2023年3月)https://www.city.taito.lg.jp/kenchiku/kankyohozen/seikatsukankyo/gairaiseibutsu/kubiakatuyakamikiri.files/kubiakanotebiki.pdf 、東京都 クビアカツヤカミキリの基礎情報 https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/animals_plants-400100a20191204115758336-files-kiso_joho2023 、埼玉県環境科学国際センター https://www.pref.saitama.lg.jp/cess/center/kubiaka.html 、農林水産省 農薬登録情報提供システム https://pesticide.maff.go.jp/ 、Russo ほか 2020 Scientific Reports https://www.nature.com/articles/s41598-020-63959-9 、The New York Declaration on Animal Consciousness(2024)https://sites.google.com/nyu.edu/nydeclaration/declaration 。図はこのサイトで作ったもの。